心の扉が思わず開く!話したくなるコミュニケーション・カード

【開発ストーリー①】その人の過去を今に繋ぐTOBIRA®カードに込めた思い

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心の扉が思わず開く!話したくなるTOBIRA®カード。とってもシンプルなカードですが、その背景にはたくさんの汗と涙がありました。試行錯誤を重ねた完成までの道のりを、開発者の畑川郁江(株式会社健育社代表)が語ります。

(インタビュアー:勝木雪子)

 

手軽に思い出話を聞くには?

─TOBIRA®カードを作ったきっかけはどんなことだったのでしょう?

畑川:
「『医療や介護の現場で、患者さんや利用者さんにどうやったら気軽に手軽に思い出話が聞けるのだろう?』そう思ったのがきっかけです。

弊社では以前、エンディングノートをWebサイト上で入力し保管するサービスをおこなっていました※一般的なものとは異なり、人生の最終段階における医療・介護の意思決定を行うための情報とともに本人の意思が書き込めるもので尊重されるための手段として、そのサービスを提供していました。
※現在はサービス終了

エンディングノートに携わっているうちに、医療・介護に必要な意思や情報を伝えることも大切ですが、それにも増して、その人がどんな人生を送ってきたのかを伝えること、ケアをする周りの人達がその人の価値観を共有することがもっとも大事だと強く感じるようになりました。

しかし、医療・介護の現場では、日々の対応に追われてなかなかじっくり思い出話を聞けるような時間がありません。人生の最終段階へ向かう医療・ケアが必要な場面では、ご本人に寄り添うことが大事とされていますが、過去のご本人のことをじっくり伺うことができずに対峙するケースがあります。

ケアの中で、その方の過去の楽しかった思い出を語ることができれは、場を和ませ、互いに良い気持ちでいられますよね。ケアの質は投げかける言葉で変えることができます。その人の心に「刺さる」もの、ことを知っていれば、ケアされる側はもちろん、ケアをする側も穏やかで良い時間を過ごすことができると思ったのです。
話のテーマはいつも「なんらかのきっかけ」から始まりますよね。そのきっかけを作るツールとして「カード」を考えました。」
 

文章を書き残すことが持つ、豊かな力

─医療や介護の現場が楽しい雰囲気になるのはいいですね。ですが、エンディングノートからTOBIRA®カードというと、ちょっと遠い感じがしますが…?

畑川:
「エンディングノートには、自分のプロフィールや印象深い思い出や出来事、家族へのメッセージなどを書く箇所があります。人生を振り返り、文章などで書き残すってとても幸せな時間になるのです。その後、書いたものを遺された人が読みます。書かれた文章は遺された人たちの心の中で、その人の存在を感じさせるお話しとしてずっと生き続けるでしょう。死という定点ではなく、生きていた時間と旅立った後を結び、遺された人たちの未来をうまく着地させてくれる。自分の経験から強く実感したのです。

私の母は十数年前、脳内出血で倒れ、約一年の闘病を経て亡くなりました。以前から母は日記を書いていました。日々のたわいもないことを、毎日数行程度でしたが。それを入院中に読み返していて、母ってこういうことが好きなのだなとか、あの時こう思っていたのだなとか、あらためて、私の知らない母を感じることができました。母のことで何かを選択・判断する際にも助けにもなりましたね。

また、デイサービスを利用していた時は、介護記録を読みどんな人たちとの関わりの中で過ごしていたのか、ということを知ることができました。文章を書き残すというのは力があると感じ、読んだ人を豊かにしてくれる、との思いを強くしました。

その後、流通ジャーナリストの故 金子哲雄さんの本『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』(小学館)を読んで衝撃を受けました。金子さんは闘病を伏せて亡くなる直前まで仕事をしつつ、病床で葬儀の打ち合わせや会葬礼状を自ら作るなど、すべての準備をご自身でされて亡くなりました。その様子も含め、金子さんの人生が綴られた「自分史」、そして、本当は離れたくない奥様への深い愛情を乗せた「引き継ぎ」と言える本でした。

このような経験から、まず、その人の人生を書き遺し、次世代に渡す『自分史』に着目しました。」

金子哲雄さんの本『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』(小学館)

 

哲雄さんの意思を受け取るように今、終活ジャーナリストとして活躍する金子稚子さんの書籍たち

 

(開発ストーリー②につづく)

 

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