心の扉が思わず開く!話したくなるコミュニケーション・カード

ニューロスカイ営業本部長 小山氏×健育社代表 畑川 対談【後編】

脳波測定から見えたTOBIRA®カードの大きな可能性【後編】

TOBIRA®カードは、カードとヘッドセット(脳波測定器)と計測アプリの3点セットでの販売を計画していました。お客様の同意を得て脳波測定を重ねていましたが、様々な問題からヘッドセットと計測アプリの商品化を断念。TOBIRA®カードのみの販売となりました。

商品化は難しかったものの、じつは脳波測定から見えてきたことが多々ありました。ご協力いただいた株式会社ニューロスカイ 執行役員 営業本部長の小山裕昭さんと、株式会社健育社代表でTOBIRA®カード開発者の畑川郁江が、脳波測定から見えたことについて語り合いました。(前編はこちらから)
後編は、高齢者施設で脳波測定したときの具体的なお話しから始まります。
 

高齢者施設でTOBIRA®カード時の脳波測定をする

畑川:
「それで、趣旨に賛同していただいた高齢者施設で、利用者さんにご協力をお願いし同意の上で、TOBIRA®カードをしながら脳波測定することになりました。計測機材を持って、小山さんと一緒にある高齢者施設に何度か通いまして。

TOBIRA®カードは、高齢者施設の代表の方と対象の利用者さんとマンツーマンでおこないました。代表の方は、利用者さんにとても信頼が厚く、相手の方の会話を引き出すことができるコーチの資格もお持ちの方です。
利用者さんに座っていただき、裏返した何枚かのカードの中から2枚選んで表に返し、書かれているキーワードをから話したいと思う好きな方を一枚選んでいただきます。そして、キーワードに関する思い出などを5分間お話しいただく、という内容で行いました。」

小山:
「座った時点で、脳波測定機器であるヘッドセットを着けていただき、しばらく深呼吸してもらいます。まずは何も考えない状態のベースラインを作るところから計測を開始します。すると、話している間、その話題に関する興味度が数秒ごとにグラフ化されます。興味の度合いによって、グラフが上がったり下がったりします。

興味がある話をしているときは、グラフがグーンと上がり続けるんですよ。逆に興味がない場合は、シューンと下がります。」

畑川:
「聴く姿勢や質問を投げかけなど、話を深掘りしてくれると良い感じに話が続いて興味度のスコアは上がり続けていましたね。

ある男性利用者さんは、無口で普段はあまりしゃべらないらしいのですが、引いたカードから音楽の話になりまして。そしたらグラフがグングン上がっていきました。ビートルズの話のときは、一層バーンと上がっていったのです。無口な方ということでしたが、好きなことを話しているときには目がキラキラしていましたね。

あと衝撃だったのは、別の利用者さんがお話し中にグーンと上がり続けていたのに、ある人が近づいてきたら急激に下がってしまったことがありました。気がそっちに行ってしまい、話しを止めようとしたのでしょうね。表情からは分かりませんでしたが。」

小山:
「表情からは分からなくても、脳波には表れます。たとえば、裏返しのカードを2枚めくりますよね。表になったキーワードを眺めて、興味のあるほうを見たとき、興味度がグーンと上がるんです。大概の利用者さんが、数値の高いほうのカードを選んでおられました。」
 

TOBIRA®カードのデザインが超シンプルな理由

─脳波はそんなにセンシティブなのですね。驚きです!

小山:
「はい、ちょっとの刺激で反応する場合もあります。たとえば、現在のTOBIRA®カードは文字のみでシンプルですが、以前はマークや色などがついていました。キーワードだけでなく、マークや色にも脳波は反応してしまう。なので畑川さんに、できるだけシンプルにしたほうがいいという助言をしました。」

畑川:
「当初は、たとえば「モテ期」というキーワードのカードには、ハートマークが当初入っていたのです。でも、小山さんから脳波測定の観点からは、ノイズになると言われて。

ダイレクトにキーワードの思い出に届いてほしいので、ノイズは極力無くすことにしました。それで、たいへんシンプルな今のデザインになったというわけです。」

シンプルなTOBIRA®カードのデザイン

 

脳波測定器とアプリの商品化を断念し、カードのみで販売

─なるほど、そんなエピソードもあったのですね。

畑川:
「もともと、認知症ケアの世界では、「回想法」という方法がありましたが、認知症に効くというのではなく、次第に人生の最終段階に向かう中で、その時間や対話により今生活する中での「ご本人のQOL」や「ケアの質」が上がると考えていました。
さらに、話の内容をログとして記録し続け、ケアスタッフでシェアすれば、利用者さんごとに楽しい話題を提供できると思ったのです。

施設の場合は多数の職員で利用者さんをケアしますが、共有すれば担当が誰であれ、その利用者さんにとって居心地の良い心の場所を作ることができ、皆がハッピーになれるのではないかという可能性を感じたのです。

現場が使えるように、脳波計測およびログをストックするためのアプリ開発をしてはどうかと考え、実際ニューロスカイさんのおかげで試作アプリまであっという間にたどり着きました。
脳波測定器であるヘッドセットと、計測データアプリ、そしてTOBIRA®カードの3点セットでの商品化を目指しました。」

小山:
「職員さんでも簡単に操作できるというようなアプリの開発を進めました。」

畑川:
「医学的なエビデンスを十分に収集することが困難になりまして…。経営的な判断もあり、脳波測定器とアプリの商品化を断念したんです。たいへん残念でしたが…。」

ただし、TOBIRA®カードには効果があると確信しましたし、うまく使っていただければ、介護現場におけるコミュニケーションの質の向上につながりますし、そもそも、リハビリやデイサービス、ケアの現場が笑顔になり楽しくなるのではないかと。TOBIRA®カードはきっかけで、スタッフの方とご本人が幸せになるそんな力を引き出してくれると強く感じました。」
 

TOBIRA®カードがもたらす大きな可能性

小山:
「人は興味のある話をするとき、脳の活動量が上がります。どういうことか、というと脳が活性するということです。高齢者施設での脳波測定でも、結果として数値に表れていました。」

畑川:
「TOBIRA®カードで利用者さんの興味のあるテーマを見い出だし、介護現場の職員の誰もがその話題を提供できれば、利用者さんにとって常に居心地の良い場所となるでしょう。さらに、それが引き金となって話が広がっていきます。脳に良い刺激を与え、記憶が繋がり、想像力が発展していくきっかけにもなります。」

小山:
「TOBIRA®カードは、脳を良い状態に働かせる1つのトリガーになるといってよいでしょう。」

─TOBIRA®カードは、ただ楽しいだけじゃないのですね。そこには大きな可能性を感じました。

畑川:
「ぜひ、介護現場で使っていただきたいですね。多くのご要望が寄せられたら、アプリ開発が復活するかもしれませんし(笑)」。

─TOBIRA®カードの可能性と奥深さがよく分かりました。小山さん、畑川さん、本日はありがとうございました。

 

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株式会社ニューロスカイ 様
https://www.neurosky.jp/

脳波・心電/心拍・筋電などの生体信号データを、効果的に活用するためのセンサー製品を提供。センサーモジュールの累計出荷数は100 万台を超え、その技術は急成長する民生向けEEG 市場で過去販売されたエンターテイメント製品の99% 以上を占めている。
民間企業や大学など、フォーチュン500 企業から革新的なスタートアップ企業までを顧客やパートナーに持ち、幅広く展開している。
近年は認知症や精神疾患、ALSなど医療分野における共同開発案件も増えている。また、スポーツのメンタルトレーニングにも効果を発揮。エンタメや医療、スポーツ、さらに自動運転などさまざまな分野での最先端技術に寄与している。

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